アフリカ豚熱に悩まされるイタリア

皆様こんにちは。イタリアナビの宮本です。さて今日はあまり日本では知られていないイタリアにおけるアフリカ豚熱の話をさせていただきます。

きっかけは2022年1月7日、北イタリアのアレッサンドリア県にあるオバダ市で死亡したイノシシからアフリカ豚熱の陽性が確認されたことから始まります。

あとからの遺伝子検査の結果、ウィルスはジョージア(国)からトラックで運ばれてきたようです。

今の時点で120頭を超えるイノシシの死骸が発見されそのうち21頭が陽性であることが判明しました。

(ピエモンテ州で14頭、リグーリア州でで7頭)

アフリカ豚熱と聞いてあまりピンとこない方もいると思うので簡単に説明しますと、このウイルスは外部環境で優れた耐性を持ち、最大100日間生存し続け、加工肉の中でも数か月間生存するとても生存力の強いウィルスの一種です。

高温に耐えることも可能で伝染性が高く、動物にとっては感染すると致命的ですが幸い人間には感染することはありません。

感染ツールとしては放し飼いのブタとイノシシの間の接触、感染した動物との接触、感染した動物からの肉または肉製品の摂取。衣服、車両、その他の機器など、ウイルスに汚染された物体との接触が挙げられ、とても簡単に感染するリスクがあります。

イタリアの保健省と農業政策省は、感染防止対策としてウイルスが検出された地域アレッサンドリア州、ジェノヴァ州、サヴォーナ州にある114の自治体を感染地域に指定し、野外活動を制限する6か月間有効な条例を発行しました。

このエリアでの散歩、サイクリング、その他の小道での活動、キノコやトリュフ狩猟、湖や川での釣りも禁止されますので人間の行動まで制限されます。

この条例が発令された事で一番困るのが養豚場ですが、国は早速動物の移動と輸出の阻止から生じる被害を考慮し、養豚場に対して5,000万ユーロの援助を割り当てることを決めました。

イタリアには約900万頭の豚がおり、欧州連合で7番目の肉生産国であり、産業は80億ユーロに相当します。

その為、イタリア国内の肉業界はウイルスが拡散し動物が殺される可能性があることを深く懸念していますが果たしてどこまで感染が広がるかは今の時点で誰にもわかりません。

経済におけるリスクは主に輸出に関係しており、最初に感染したイノシシが発見されてから数日後には日本をはじめ、スイス、中国、クウェートなどの国々が予防措置としてイタリアからの肉の輸入をすぐにストップしました。

加工肉、とりわけパルマハムの輸出におけるイタリアの売上高は16億ユーロで、生産者にとっては危険にさらされるリスクがあります。

食肉およびサラミ産業協会(Assica)は、これらの製品の輸出停止の月ごとに少なくとも2,000万ユーロの損害を見積もっています。

感染地域に指定されたエリアにおいては木材の伐採、トリュフやキノコ狩猟、トレッキングなども禁止されるので別の産業にも影響を及ぼす事態に発展しています。

すでにコロナで大打撃を受けているイタリアでこのアフリカ豚熱が広がらないことを祈るばかりです。

また生ハムは最低でも1年の熟成期間が必要で、現在加工されたものはもともと1年以上前の豚を使っている訳ですからこのあたりも考慮し、早めに日本政府も輸入の解除をしてくれることを期待します。

イタリアナビ / 宮本 

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